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やっぱり私、走るのが好きだ!未来予報ハシレルヤ

【10/29~11/4】練習レビュー【ウルトラマラソンの戦略は?】

#サタデーイブニングシリーズ #Saturday evening series (SES)

毎週土曜日昼くらいに一週間のマラソン練習を振り返り、反省点を抽出していく取り組みです。3日坊主なのでいつまで続くか分かりませんが、競技力向上の為に続けて行きます。

1週間の練習レビュー

週間走行距離 62.28 km (1029~1104)

(土) 2 km warming up (avg. 5'40", HR 114 bpm)

21.2 km 沼津スマイルマラソン (avg. 4'08", HR 161 bpm)

ss774.hatenablog.com

(日) 5 km ジョグ (avg. 7'00") 

(月)~(水) 回復しない疲労や許しがたい泊り勤務があり、泣く泣くオフとした

(木) 2部練習

午前練習 10 kmのジョグの後1000 m 5本のインターバル走, 19.21 km

10.53 km (avg. 4'51",  HR 136 bpm)

7.22 km (avg. 4'11", HR 158 bpm, インターバル走, 設定3'45", rest 3分)

3'39", 3'39", 3'32", 3'35", 3'32"

1.46 km (avg. 6'42",  HR 127 bpm)

午後練習 10.53 km (avg. 5'12", HR 129 bpm)

+) 0.84 km (ジャンクマイル)

(金) 3.5 km 

Total: 62.28 km

次レース:みちくさウルトラマラソン

沼津スマイルマラソンも終了し、目標であるサブ90も達成できた。満足のいくシーズンインだ。

さぁ、市民ランナー最大の目標であるサブスリーに向けて、まずはVO2 maxインターバル走から。充分にスピードの基礎が出来たら次は30 km走で持久力を作っていこう……!目標達成に熱心な優秀な市民ランナーならそうするだろう。

しかし、あれもしたい、これもしたい、もっとレースしたい、じっとしていられない性格。レース前の緊張感とレース中のお祭り感が好きで、また出たくなってしまう。結果、計画にそぐわない形にはなってしまうけど、レースにエントリー。休む暇がないのは、さながら某スクールアイドルグループのようである。

それで、次のレースは南伊豆町で開催されるみちくさウルトラマラソン100 km

第9回 南伊豆町100km・78km・66kmみちくさウルトラマラソン

http://michikusa-ultra.com/map/map_izu_20221112.html

一昨年にもエントリーして13時間で完走している。

とはいえ、この距離を踏破すること自体、どんなにランナーとしてのレベルが上がってもチャレンジであることには変わりない。だから、ワクワクしてくる。チャレンジの機会があり、そこに向かってワクワク出来ることはラブライブ!(を追体験していること)なのだ。

だから、全力で取り組みたい。

大会の特徴:景色は良いがコースが過酷

景色と食べ物

登ってくる朝日(と下ってくる夕日)、国立公園での走行、南伊豆の雄大な海外線、

そして、エイドの豊富な食糧!

この大会は他ウルトラマラソンと比較して、タンパク質や塩分を含んだ補給品が多く供給される。

後で述べるが、ウルトラマラソン中にはこれらを摂取することが重要。つまり、栄養面からのサポート体制が充分な大会なのだ。

獲得標高 2200 m

一方で獲得標高は2000 m以上!

ただでさえ100 km走ることの負荷が凄いのに、登りと下りが代わる代わる襲い掛かってくる。

コース図を参考にStravaでルートを書いてみる。すると……?

画像

必要以上にギザギザしている。

トレイルレースと勘違いしてしまうが、路面のほとんどがコンクリの上で展開されるし、間違いなくウルトラマラソンなのである。

過酷さで有名な星の郷八ヶ岳野辺山高原100㎞ウルトラマラソンの獲得標高も2000m。展開される標高の違いはあれど(酸素濃度に関連する)、同レベルのしんどい大会である。興奮してきたな。

栄養から考えるウルトラマラソンのトレーニングと戦略

もちろん、参加した一昨年も非常につらい思いをした。今年も参加するにあたって少しでも楽が出来ないか (+ 後遺症を減らす事が出来ないか) と考え、先人たちが明らかにしてきた知識に頼ることとした。

参照したのはいつものInternational society of sports nutrition (ISSN) の論文。

Tiller BN. et al, Journal of International Society of Sports Nutrition (2019)

International Society of Sports Nutrition Position Stand: nutritional considerations for single-stage ultra-marathon training and racing

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1186/s12970-019-0312-9

レーニングについての指針

①, ② → あまり重要でない (具体的でない) ので省略。

重要なことは『カロリー制限をしすぎない』『十分な時間をかけて代謝を適応させる』

③ 体重あたり5~8 g/dの炭水化物を摂取する

グリコーゲンの消耗から素早く回復するために炭水化物を多く摂取しましょうという話です。先週も触れていました。

ss774.hatenablog.com

日々、カロリー(はあまり気に出来ていないのですが)や栄養をよく見ながら食べ物を摂取していると、脂質やアルコールを取りすぎると、タンパク質や炭水化物の1日当たりの要求量を満たす事が困難になることを痛感します。

④ 低強度練習前や1日全体での炭水化物制限はミトコンドリア機能や脂質代謝能力を高める可能性がある。しかし、同時に高強度におけるパフォーマンスを低下させる可能性も伴う

いま流行りの糖質制限についての言及ですね。

僕ら市民ランナーの目標はVO2maxやLTを上昇させることであり、それはたとえウルトラランナーといえど変わらないので、糖質制限にはあまり意味がないと考えます。

それよりもしっかりと炭水化物を摂取して、しっかりと踏んでいくことで自分の筋肉に刺激を与えることが重要でしょう。

高いレベル (ハーフマラソン 70分代、フル2時間30分代) になったらどうなるかは分かりませんが……

体重あたり1.6 g/d のタンパク質を摂取する。厳しい練習をした場合には、体重あたり2.5 g/dまでの摂取が望ましい場合もある。

ダウンヒルによる筋肉痛から迅速に回復するために大事という話ですね。

レース中の戦略についての指針

⑥ 時間当たり150~400 kcal(内訳:炭水化物 30 ~ 50 g、タンパク質 5~10 g)を摂取する。

■ 消費カロリー計算 ■

体重 50 kg, 80 km, 時速 8 kmのレースでは3460 kcal, 70 kgで同じスピードならば4845 kcal。体重50 kg, 161 km, 時速 6.5 kmならば6922 kcal, 70 kgで同じスピードならば9891 kcal消費すると考えられる

体重 X 距離 = 消費カロリーという計算式は消費カロリーを過大評価してしまうようです。大体7/8程度になると概算すると良いかもしれません

■ 時間当たりのカロリー摂取量の目安 ■

161 kmレースにおける調査では時間当たりのカロリー摂取が200 kcal以下の選手は、DNFとなる確率が上昇。また、エリートランナーは300 kcal以上摂取

ここから、ガイドラインでは150 ~ 400 kcalという数値を推奨しており、腹痛などが充分にマネージメント出来るのであれば200 kcal以上を保つべきだとも述べております。

■ 炭水化物の量は? ■

レースを完走できた選手と出来なかった選手を比較して、非完走選手では炭水化物摂取量が少なかったことを踏まえ、このガイドラインでは 時間当たり30 ~ 50 gの炭水化物を摂取することを推奨しています。

■ タンパク質摂取 ■

軽視されがちですが、レース中に摂取することで中・後における筋肉痛を和らげるかもしれないとする報告が存在しており、メリットがある可能性があります。

161 kmレースで完走者と非完走者を比較した研究では、時間・体重当たりのタンパク質摂取が0.08 g/kg/hと0.4 g/kg/hと、完走者では有意に摂取量が高かったようです。しかし、レースにおけるエイドでタンパク質が用意されるとは限らず、BCAA tabletなどのサプリを用いて摂取する手もあります。量としては3時間おきに20~30gを推奨しているようです。 

■ レースの朝食事 ■

脂質や繊維の多い食事を避け、炭水化物が多い食事を摂取すると吐き気、腹痛、うんちトラブルなどの発生率を下げられると考えられています。

■ 運動強度と腹痛などの関連 ■

70 % VO2 max以上の強度で運動を行うと、胃排泄の速度が低下し、消化器症状の原因となるようです。%VO2maxは測定できないので、%HRRを使用することを推奨します。

僕の場合はmaximum 180、 resting 40なので138 bpm以下に抑えるべきということになります

⑦ 時間当たり450~750 mLの水分補給と1~2gの食塩摂取を行う。

■ 時間あたりの水分摂取量 ■

1時間おきに750 mLの水分摂取を行うとお腹がたぽたぽになって走れないので、20分毎に150~250mLと分割するのが望ましいと考えられます。また、100 kmレースでは500 mL, 160 kmレースでは750 mLと量を上げる必要がありかもしれません。

■ 塩分摂取量 ■

時間あたり300 ~ 600 mgのナトリウム、塩化ナトリウム(食塩)とすると1 ~ 2 gの摂取が推奨されます。アクエリアスの食塩含有量が1 g/Lなので、アクエリアスでも多少濃度が薄い、ということになります。

計算してみましょう、1時間当たりアクエリアスを600 ml摂取すると考えれば、食塩摂取量は0.6 gとなるので、最低でも0.4 gの追加摂取が望ましいということになります。

しかし、こういった飲料に追加で塩分を追加すると飲みにくくなってしまう為、サプリや補給食品を使って補給するのが妥当な戦略となるかと思われます。

■ 他電解質

当然ですが、ナトリウムだけでなく他の電解質についても補給は必要ですが、レース中の喪失で最も問題となるのがナトリウムということなのでしょう。two-runやMag-onなど、様々な電解質補充サプリ・ゲルが開発されていますし、これらを利用するのが吉でしょう。

具体的な摂取量についての記載はありませんでした。

■ 湿度や気温 ■

当然ですが、温度・気温が上がれば摂取必要量が増えることが考えられます。具体的な何度ならばどれくらい摂取するべきか、などは記載がありませんでした。

⑧ レース中の胃腸障害の症状を緩和するために、漸進的な腸内トレーニングおよび低FODMAP食(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)を支持するエビデンスが存在する。
⑨ ケトン食・ケトンエステルが競技力を向上させることを支持するエビデンスは不足している。

エビデンスがないようです

■ メタ解析でも有意差が出せておらず、積極的に摂取する根拠はないのではないでしょうか。

⑩ 睡眠不足が安全性を損なう場合、レース後半のパフォーマンスを維持するためにカフェインを使用することを支持するエビデンスがある

■ カフェインは脳内アデノシン受容体に結合し疲労感の形成をブロックするとともに、筋内でのカルシウム放出を促進することで筋力を増加させる作用があります

■ ただし、多量に摂取したからと言って効果が著しく上がるかというとそういう訳でもなく、効果を上昇させるのは閾値があるようです。一般に体重当たり4~6mg程度と言われています。また、胃腸の荒れ、頭痛等々の副作用があるため、やはり多量摂取は推奨されません。

■ なお、ある程度の短期間に1gを摂取すると中等度~重度の中毒症状が出現すると言われており、5~10g摂取すると死に至る可能性があります。(個々人の代謝に因ります)

■ 161 kmレースにおけるエリートランナーのカフェイン摂取量は912±322 mgであったと報告されています。

■ 副作用等を踏まえると、時間当たり50 mgカフェインを摂取するのが良いだろうとガイドラインは述べています。

痛み止めは使うならアセトアミノフェン

■ NSAIDs (ロキソニンイブプロフェンなど) の効果は研究によって一致していない。ただし、急性腎障害や心血管系のイベント、低ナトリウム血症などのリスクを上昇させるために、レースにおける摂取は推奨されない。

アセトアミノフェンについては明らかな副作用などは報告されていない。
→ 使用するならばNSAIDsではなく、アセトアミノフェンということなのでしょう。

以上を踏まえて、レース前・中の補給についてまとめ

・時間当たり150~400 kcal(内訳:炭水化物 30 ~ 50 g、タンパク質 5~10 g)を摂取する

・上記をふまえつつ、3時間おきにタンパク質を20 g程度摂取する

・時間あたり500 mlの水分を摂取する

250 kcal, 500 mlを目安として補給

・時間あたり300 ~ 600 mgのナトリウム、塩化ナトリウム(食塩)とすると1 ~ 2 gの摂取が推奨されます。

・two-run, mag-onなどの電解質補給商品を使用する。塩飴なども良いかも。

・1時間当たりカフェインを50 mg摂取する

・疼痛時アセトアミノフェンを使用する

→ tworun, magon, 塩飴などの電解質補給製品 EAA tablets, カフェイン, アセトアミノフェンは使ってみたらどうでしょう?

しかし、エイドにて提供される食事全てに栄養含有量が記載されている訳ではなく、従って上記の目安に従うことは困難です。今回大会のようにエイド提供食が記載されている場合には、あらかじめ何を食べるか想定しておき、栄養含有量を調べておく、という方法が考えられます。もちろん、ある程度のずれが出ると考えられますが、そこは許容するべきでしょう。

という訳で、来週土曜日までに各エイドで何を食べるかを考えます……。