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タンパク質摂取と持久力

Q. タンパク質の摂取は持久力向上効果があるのか? (前提)

文献1より引用。

When adequate carbohydrate is delivered, adding protein to carbohydrate does not appear to improve endurance performance over the course of a few days or weeks.

十分な量の炭水化物が摂取されている場合、炭水化物にタンパク質を加えても、1,2日~1,2週間単位では持久力の向上にはつながらないようです。

注) タンパク質を摂取したからといって、短い期間ではFTPとかLTが1-2 %向上するわけではない。Vaporflyなどは履いた瞬間からパフォーマンスが1-4 %向上する即効性のある道具ですが、少なくともタンパク質はその類のものではない、長期的に使っていく必要のある道具だよ、ということです。体が入れ替わるのには90日かかると言われているので、それを踏まえれば当たり前ですね。

Adding protein during or after an intensive bout of endurance exercise may suppress the rise in plasma proteins linked to myofibrillar damage and reduce feelings of muscle soreness

持久的な運動中または運動後にタンパク質を摂取すると、筋原線維の損傷に関連する血漿タンパク質の上昇を抑制し、筋肉痛の感覚を軽減することができる。

注) 具体的には0.25 g/BW, 1時間おきにタンパク質を摂取する

解釈) ハードな練習後にタンパク質を摂取することで、次の練習にスムーズに移行することが出来る ⇒ トレーニング負荷・量の上昇につながる可能性があります
There are relatively few investigations on the effects of protein supplementation on endurance performance

タンパク質補給の持久力への影響に関する研究は比較的少ない

なお、文献1は2017年に学会より出た声明なので、最近だと以下の様な研究も存在する。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

介入期間は10週間と長め。摂取量を1.2 g/BW/dと一般アスリートに推奨される量から1.8 g/BW/dと上昇させてみたらどうなるか?というもの。

結果としては、以下の通り。

Protein supplementation elicited greater gains in VO2max and stimulated lean mass accretion but did not improve skeletal muscle oxidative capacity and endurance performance during 10 wk of endurance training in healthy, young males.

健康な若年男性を対象とした10週間の持久力トレーニングにおいて、タンパク質補給はVO2maxをより向上させ、除脂肪体重の増加を促進したが、骨格筋の酸化能と持久力は改善しなかった

私見) 人間を対象とした研究は"有意差"がかなりの曲者で、有意差がなくてもグラフを見たら差がありそう、みたいなケースがちょくちょくある。で、実際この研究にツッコミどころは沢山あるのだけれど、グラフだけ見るとタンパク質摂取は持久力を改善しているように見える。

A. 疲労感や筋損傷は減らしてくれる

"タンパク質摂取量の増加は長期的に摂取すればそれだけで持久力向上効果があるかもしれないが、一番良いのはリカバリーの促進手段として使うことである"

持久力の向上

■ タンパク質摂取には短期的な効果はない

■ 長期的に摂取すると効果があるかもしれない

疲労感や筋損傷の低減

■ 効果あり。練習中に0.25 g/BW (体重の1/4), 1時間おきに摂取する

→ スムーズに次の練習にうつることが出来るので、練習量・強度の上昇に繋がる可能性がある。適切なリカバリーと組み合わせれば、パフォーマンス向上に寄与すると考えられる。

参考文献

1) Jäger et al. Journal of the International Society of Sports Nutrition (2017)

"International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise"